囁きに耳を澄ます
先日、愛猫が息を引き取りました。 18歳と7ヶ月。 生後3ヶ月で我が家にやってきてから、18年と4ヶ月でした。 三毛の毛並みのふわふわとした、とても可愛い子でした。 中心が青みがかった緑の瞳は森の中の湖のように綺麗でした。 つんとおすましした様子は、気品があると言われました。 我が家にやってきたときにはもう外を知っている子で、完全な内猫にはできなくて、外でよく遊ぶ子でした。 10歳を過ぎるまで狩りの名人でした。 いろんな獲物を見せに来ては、私に悲鳴を上げさせました。 いちばんの大物はコウモリです。 私の足音を聞きつけるとどこからともなくお出迎えに走り出てきてくれました。 二人並んで、よく一緒に家に帰りました。 眠るときはいつも一緒でした。 私が体調を崩したり泣いていたりすると、ずっとそばを離れない子でした。 私が家を不在にすると、いつも怒って、手が届きそうで届かない距離を保ったまま、背中を向け続けました。 気が済むまで宥めると、ようやく甘えてくる甘えん坊でした。 今はあの子が不在です。 悲しみと寂しさは言い表しようがありません。 あたりまえのようにそばにいた。 それは、けして当たり前のことではなく、「幸せな奇跡」だったのだなと今さらながらに思います。 『囁きに耳を澄ます』
この作品は、14歳の頃の愛猫を描いたものです。 風の囁きに、花の囁きに、お日様の光の囁きに、 耳を澄ませば、まだあの子の鳴き声が聞こえるような気がします。